ケトルベルで「バネ」を鍛えろ!【プライオメトリクス】

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  • もっと速く走れるようになりたい
  • もっと楽に長い距離を走れるようになりたい
  • もっと高くジャンプできるようになりたい

このような目的をもって日々練習している方におすすめのトレーニング方法があります。

それは「プライオメトリクス」です。

プライオメトリクスって何?

スポーツパフォーマンスを向上させるには、競技練習を積むことはもちろんですが、

筋トレで筋肉を強く大きくし、身体の基礎を作ることが大切です👇

次に、スポーツによって動きに違いはありますが、多くの競技動作に共通するベースとなるスキルを磨く必要があります。

それは「ダイナミックな動きの中で高いパワーを筋肉に発揮させる能力」です。

近畿大学 生物理工学部 谷本道哉准教授は、「パワー発揮のための基礎スキル」を

  • できるだけ素早く力を立ち上げて高いパワーに到達する「爆発力
  • 筋肉や腱の弾性力を巧みに使った「バネ
  • 全身で生み出したパワーをターゲットの動作部位に巧みに伝えていく「連動性

の3つに分け、解説されています。

プライオメトリクスは、この中の「バネ」に深く関係しています。

Stretch-Shorting Cycle (SSC):伸張ー短縮サイクル」とも呼ばれます。

伸ばされた筋肉はより大きな力を出せる

筋肉と腱はゴムのように伸び縮みします。

(腱とは筋肉が骨についている部分のことで、硬いコラーゲン線維が主成分です。)

伸ばされた筋肉と腱は、元の長さに縮もうとするエネルギーを持ちます。

このエネルギーを上手く利用して、目的の動作のパワーにつなげるのがプライオメトリクスです。

わかりやすいのが、カンガルーの足です。

カンガルーはとても長いアキレス腱をもっていて、外敵から逃げる時は、

腱の弾性エネルギーを巧みに使い、ピョンピョン跳ねて逃げます。

このように、筋肉や腱の弾力性を上手に使うスキルを磨くことで、

少ないエネルギーで大きなパワーを発揮することができ、より速く走り、より高く跳べるようになるのです。

プライオメトリクスの種類

プライオメトリクスは大きく分けて

  1. 往復の反動を使ったもの
  2. 体幹から動いて手足に伝えるもの
  3. 短い時間で素早く切り返すもの
  4. 「力のタメ」を使うもの

の4つのタイプがあります。

1.往復の反動を使う

1つ目のタイプは、筋肉がひき伸ばされてから縮む「切り返し」の局面で、強い力を爆発的に発揮します。

ケトルベルスイングはズバリこのタイプです!

お尻や背中の筋力でケトルベルを振り上げ、

遠心力により加速されながら戻ってくるケトルベルを筋肉の弾力性を使って受け止め、

反動により大きくなったエネルギーを失わずに次のスイングにつなげます。

まさしく、往復の反動を使ったプライオメトリクスですね!

ケトルベルスイングは「往復の反動を使う」プライオメトリクスの代表的エクササイズだ

2.体幹のエネルギーを末端に伝える

2つ目のタイプは「投げる」「打つ」「蹴る」動作が代表的です。

体幹の大きな筋肉で生み出したパワーを上肢や下肢を通してボールやバットに伝えます。

この時、腕や足をゴムのようにしならせることで、体幹のパワーをスムーズに末端に伝えることができるのです。

四肢をしならせて筋肉の弾力性を使い、エネルギーを大きくしながら末端でエネルギーを爆発させる

これもプライオメトリクスなんですね。

腕をムチのようにしならせて、体幹や下肢で生み出したパワーをボールに伝えている

3.短い時間で素早く切り返す

3つ目のタイプは「速いプライオメトリクス」とも呼ばれます。

短距離走の選手がよく行っているアンクルホッピングが代表的です。

地面に接地している時間をできるだけ短くし、強く速く切り返します。

このタイプは筋肉よりも、腱の弾力性を最大限に活用し、パワーを発揮します。

フィールドでの急な切り返しを伴うスポーツや、

相手の動作に瞬時に反応しなければならない格闘技で役立ちます。

ボクサーが常に小さくジャンプしていたり、ラグビーの選手が方向転換する時にステップを小刻みに踏むのは、このためなんですね。

速いプライオメトリクスが素早い切り返しに役立つ

4.比較的長い「タメ」を伴う

4つ目のタイプは「大きなプライオメトリクス」と呼ばれます。

バレーボールのブロックをイメージしてみて下さい。

ぐーっと身体を沈めてから思い切り地面を蹴って高くジャンプしますね。

地面に接地している時間は0.5~1秒くらいで、3つ目のタイプと比べると比較的長い「タメ」を伴います。

筋肉は急激にひき伸ばされると、素早く縮もうとします。

これを伸張反射と言います。

縮もうとするエネルギーをジャンプ力に活かすことで、より大きなパワーを生み出すことができるのです。

筋肉は急激に引き伸ばされると縮もうとする。そのエネルギーをジャンプ力に活かしている

4つのタイプのプライオメトリクスを、競技や目的に合わせて使い分けることが大切です。

プライオメトリクス トレーニングのメリット

プライオメトリクス トレーニングを行うことで、どんなメリットがあるのでしょうか?

先に述べたように、プライオメトリクスはスポーツで重要な「パワーを発揮するためのスキル」の1つです。

筋肉や腱のバネを巧みに使って、より大きなパワーを発揮できるようになれれば、

  • 少ないエネルギーで大きなパワーを出すことができる
  • 地面からの反発力(床反力)を推進力に変えることができる
  • 股関節や体幹の大きな筋肉のパワーをスムーズに末端に伝えられるようになる

このような効果が期待できます。

プライオメトリクス トレーニングの注意点

プライオメトリクス トレーニングを行う上で注意すべきポイントがあります。

  • 筋肉・腱・関節にかかる負担が大きいので1回の練習量や頻度に気を配る
  • 身体が疲れていない序盤に行うのが望ましい
  • 必ず強度の低いエクササイズから開始し少しずつ強度を上げていく
  • 毎回最大に近いパワーを出すよう心がける
  • 1セットの回数をハイパワーを維持できる回数に抑える(5~10回くらい)
  • 身体に痛みを感じる時はすぐに中止する

以上のポイントに注意して、安全にプライオメトリクスを行い、パワー発揮スキルを磨きましょう!

どんな競技におすすめ?

プライオメトリクスには4つのタイプがあることをお話ししました。

具体的にどんなスポーツでプライオメトリクスが役立つのでしょうか?

ほんの一例ですが、

  • 短距離走
  • 長距離走
  • ハイジャンプ系競技

でプライオメトリクスがどうパフォーマンスアップに貢献するのかお話しします。

短距離走

スプリント競技や、サッカーなどダッシュを繰り返し、急な方向転換を伴う競技の場合、

  • 地面からの反発力を推進力に変えるスキルが向上する
  • 筋肉・腱のバネで「脚の回転」が速くなる

この2つにより、ダッシュ力(スピード)や俊敏性(アジリティ)が向上します。

SAQ(Speed-Agility-Quickness)トレーニングを行う目的でもあります。

長距離走

長距離走でもプライオメトリクスはパフォーマンスアップに貢献します。

  • 筋肉・腱のバネで「ランニングエコノミー」が向上する

ランニングエコノミー(走りの効率性)とは、より少ない酸素摂取量で長い距離を走ることができる能力のことです。

つまり、ランニングエコノミーが向上すれば、有酸素性持久力が同じでも、タイムを縮めることができるのです。

有酸素性持久力は、最大酸素摂取量(VO2Max)と深い関係があります。

VO2Maxは、ショックなことに、個人の素質に大きく左右されるそうです。

もちろん有酸素性トレーニングを積むことで向上させることはできますが、トップアスリートと同じ水準にまで高めることはできないそうです。

ランニングエコノミーは、スクワットなど一般的な筋トレで基礎筋力を高めることでも向上します。

長距離ランナーにこそ、プライオメトリクスや筋トレが必要なんですね!

ハイジャンプ系競技

バレーボールや走り高跳びといった「ハイジャンプ系」競技では、プライオメトリクスはとても重要です。

  • 筋肉の弾性エネルギーを爆発力に活かせるようになる
  • 水平方向のエネルギーを垂直方向のエネルギーへスムーズに変換できるようになる

走り高跳びやバスケットボールなどは、走って加速しながら踏み切る局面がありますね。

プライオメトリクスは、助走により生み出したエネルギーをスムーズにジャンプ力につなげるために役立ちます

全身の筋肉をバネのように使って連動させ、全てのエネルギーを踏みきりで爆発させているのです。

ここまで、プライオメトリクスがスポーツのパワー発揮に重要な役割を果たすことについてお話ししました。

次は、ケトルベルトレーニングがなぜプライオメトリクスに最適なのか、その理由について掘り下げてみましょう!

ケトルベルでプライオメトリクストレーニング!

ケトルベルで磨くことができるのは「往復の反動を使う」タイプのプライオメトリクスです。

ケトルベルトレーニングは

  • 股関節の伸展⇔屈曲の切り返しスピードを上げる
  • 股関節の伸展の爆発力の向上

に最適です。

ケトルベルで股関節の弾力性を高めよう

皆さんは、私たちの身体の最もパワフルな動きは何だと思いますか?

それは、股関節の伸展脚を後ろに蹴る動き)です。

股関節の伸展の主な動力源は、大殿筋やハムストリングが担っていますが、それと同じくらい重要なのが、

股関節の屈曲(脚を前に持ちあげる動き)を担っている腸腰筋の柔軟性です。

股関節屈筋群(大腰筋・腸骨筋)
股関節屈筋群(大腰筋・腸骨筋)

脚を後ろに蹴る動きばかりが強くなっても、脚を前に持ちあげる動きがスムーズにできなければ、

素早い股関節の切り返しができなくなってしまいます。

スムーズな切り返しができないと、ダッシュで脚の回転が遅くなってしまい、スピードが下がってしまいます。

スイングで素早い股関節の切り返しを磨く

ケトルベルスイングは、股関節の伸展⇔屈曲の切り返しを高速で繰り返します。

繰り返し行うことで、少しずつ拮抗する筋肉の協調性が高まり、スムーズに切り返せるようになります

ケトルベルスイングで股関節の素早い切り返しを磨けば、スピードの向上が期待できます。

ヘビースイングは股関節の爆発力を高めるのに最適

ケトルベルは、股関節の爆発力を高めるのに最適です!

特に、32kg以上のケトルベルを使ったヘビースイングは、パワフルな股関節の伸展を磨くのにぴったりです。

ただリズムよくケトルベルを振るだけでは最大の効果を得ることはできません。

ケトルベルを振り上げる時、意識して爆発的に股関節を前に押し出すようにしましょう。

主働筋である大殿筋・ハムストリング・広背筋のエネルギーを一気に爆発させるのです。

股関節の伸展の爆発力が向上すれば、地面をよりパワフルに押せるようになるので、

ジャンプ力の向上が期待できます。

スイングより負荷を高めたい人はスナッチに挑戦しよう。全身のバネを強化できるぞ!

ケトルベルとジャンプ系プライオメトリクスを組み合わせる

ケトルベルは主に股関節のパワーを高めるのに適しています。

ダッシュやジャンプは、股関節と膝関節両方の動きが関係しています。

従って、ダッシュ力やジャンプ力を最大限に高めるためには、

ケトルベルで股関節のパワーを高めるトレーニングと

  • 膝を一気に伸ばす爆発力
  • 膝を動かす筋肉(大腿四頭筋とハムストリング)の協調性

この2つを磨くことができるジャンプ系のプライオメトリクスを組み合わせるのがベストです。

すでにジャンプ系のプライオメトリクスをプログラムに取り入れている方は、

更なるパワーアップのためにぜひケトルベルを取り入れてみて下さい!

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出典
谷本道哉、荒川裕志、石井直方『使える筋肉・使えない筋肉 アスリートのための筋力トレーニングバイブル』、{第二版}、株式会社ナツメ社、2019、p50-59、(ISBN978-4-8163-6551-5)