最近人気が高まっているケトルベルトレーニング。
「ターキッシュゲットアップ」というエクササイズをご存知ですか?
日本では「トルコ式ゲットアップ」、海外では省略して「TGU」とも呼ばれています。
ターキッシュゲットアップは、床に倒れた姿勢からスタートし、腕を伸ばしてケトルベルを支え、
落とさないようにバランスを取りながらゆっくり立ち上がるエクササイズです。
トレーニングに取り入れることで、どんな効果が期待できるのでしょうか?
今回は、
- ターキッシュゲットアップで期待できる効果は?
- どんな競技のパフォーマンスアップにおすすめ?
- ターキッシュゲットアップの動作のポイントは?
に焦点を当てて、ターキッシュゲットアップを徹底解説したいと思います!
実演!ターキッシュゲットアップ!
ターキッシュゲットアップのデモンストレーションです👇
使用しているケトルベルは32kgです。
これくらいの重さになると、1つ1つの動作に集中しないとケトルベルをコントロールできません(-_-;)
ターキッシュゲットアップの行い方
ターキッシュゲットアップの行い方を簡単に解説します。
(ケトルベルを左手に持つ場合)
- 床に横になり、左を向く
- 左手でケトルベルのハンドルを持ち、両手で胸の上に持ってくる
- 左手を伸ばし、ケトルベルを支える。この時、手のひらをハンドルが斜めに走るように持つ
- 右腕と右足は斜めに伸ばし、左足は曲げておく
- 左の肩甲骨を床からゆっくり離すと同時に、左足で床を強く押し、起き上がる
- 右肘を伸ばす
- 左足と右手で身体を支えながら、右足を身体の下に持ってきて、立て膝になる
- バランスを崩さないように注意しながら、身体を起こし、立ち上がる
この後、逆の順序でスタートポジションに戻ります。
反対側にケトルベルを移動させて、右側も同様に行いましょう。
実感としては、5.の動作が最も難しいと思います。
また、立ち上がる時よりも倒れていく時の方がバランスを崩しやすいので、注意しましょう。
動作のポイント
ターキッシュゲットアップを安全&効果的に行うためのポイントをまとめました。
- ケトルベルのグリップは、手のひらを斜めに走るように持つ
- ケトルベルが視界に入っている間は、視線は常にケトルベルを追いかける
- エクササイズのスタートからフィニッシュまで、常に肩甲骨を引き締めておく(肩を「パック」する)
- ロボットのように、1つ1つの動作を「ピタッ」と止めるイメージで、丁寧に行う
1つ目のポイントは、手首の怪我を防ぐために重要です。
スタートの時、ケトルベルのグリップが手のひらを真横に横切るようにして持ってしまうと、
身体を起こした際、手首が強制的に反らされる形になり、手首を痛めてしまう可能性があります。
頭上に持ちあげた時、親指以外の4本の手指は軽くグリップに添えるくらいのイメージで
ケトルベルを保持できると、グリップが手のひらを斜めに走っているはずです👇
3つ目のポイントは、肩の怪我を防ぐために必ずマスターしましょう。
肩は可動性が大きい分、靭帯や骨による支持が弱く、筋肉により安定性を確保しています。
ターキッシュゲットアップのスタートからフィニッシュまで、常に肩甲骨を引き締めておくことで、
不安定な肩関節を守り、同時に広背筋など背中の筋肉を動員しやすくなります。
肩甲骨を引き締めておくことを、英語で「packed」と表現します。
肩の筋肉と背中の筋肉を1つのグループとして捉えるイメージですね。
ケトルベルの重さの選び方
ターキッシュゲットアップは、ケトルベルエクササイズの中でもかなり複雑なものの1つです。
各動作に慣れるまでは、筋力に自信がある男性であっても、軽いケトルベルで練習されることをおすすめします。
筋力に自信がない女性の場合は、何も持たずに「グー」のままフォームを真似して、
ターキッシュゲットアップの動作を覚えると良いと思います。
動作を覚え、スムーズに動けるようになったら、少しずつ重さを増やしてゆきましょう。
ターキッシュゲットアップのメリット
ターキッシュゲットアップをトレーニングに組み込むことで期待できる効果をまとめてみました。
- 肩のインナーマッスル「ローテーターカフ」が強化され、肩の安定性が向上する
- 股関節周りや肩甲骨周りの柔軟性が向上する
- バランスを崩さないように立ち上がることで、強い体幹が作れる
1つずつ掘り下げてみましょう。
1.ターキッシュゲットアップで肩の安定性が高まる
ターキッシュゲットアップを継続して行うことで、肩の安定性が向上し、怪我の予防に役立ちます。
肩関節は、他の関節と比べて可動域が大きい分、安定性が低い関節です。
肩関節が不安定な理由は2つあります。
- 関節包や靭帯による支持が弱く、安定性を筋肉に頼っている
- 上腕骨頭と、それがはまる「ソケット」の大きさが合わない(上腕骨頭:関節窩=3:1)
主に肩関節の安定性を担っている4つの「インナーマッスル」は、
- 棘上筋(腕を横に上げる、上腕骨頭を関節窩に押さえつける)
- 棘下筋(腕を外に回す)
- 小円筋(腕を外に回す)
- 肩甲下筋(腕を内に回す)
これらをまとめて「ローテーターカフ(Rotator Cuff):肩腱板」と呼びます👇
ターキッシュゲットアップは、腕を伸ばしてケトルベルを支え、ゆっくり立ち上がるエクササイズです。
床に倒れた姿勢、横向きの立て膝、オーバーヘッドポジションと、バランスを取りながら姿勢を変えなければなりません。
それぞれの姿勢でケトルベルを支える時、ローテーターカフが働き、肩を安定させるのです。
2.股関節周り&肩甲骨周りの柔軟性が向上する
ターキッシュゲットアップは、股関節や肩甲骨の柔軟性を向上させる効果も期待できます。
ちなみに、細かいことですが、「柔軟性」と「可動性」は意味が少し異なります。
柔軟性⇒筋肉や腱の伸びやすさ
可動性⇒関節の可動域の大きさや、関節がスムーズに動くかどうか
※ここでは混乱を避けるため、「柔軟性」に両方の意味を含めています。
スポーツにとって、柔軟性はとても重要です。
関節や筋肉が高い柔軟性を有していれば、
- 試合中・練習中の怪我の予防に役立つ
- 関節の可動域が大きくなり、トレーニング効果UP
- 筋肉の弾力性「バネ」を使って、少ないエネルギーで大きなパワーを発揮できる
など、様々なメリットが期待できます。
新体操の選手のような極端な柔軟性ではなく、各競技に必要なレベルの柔軟性です。
実践してみるとわかりますが、ターキッシュゲットアップは、
パーフェクトなフォームで行うためには各関節の適度な柔軟性が必要です。
特に、倒れた姿勢から立て膝になる時や、立て膝から立ち上がる時に必要です。
じっくりターキッシュゲットアップに取り組むことで、自分の身体の固さに気づき、
少しずつ柔軟性を高めてゆくことができます。
3.ブレない強い体幹を作ることができる
ターキッシュゲットアップを継続して行うことで、ブレにくい強い体幹を作ることができます。
動きに慣れ、スムーズに姿勢を変えられるようになったら、少しずつ重さを増やしましょう。
ある程度の重さを扱うと、ケトルベルを支えるために体幹が強く働くようになります。
特に、体幹を固めてスポーツのパフォーマンスに貢献する腹斜筋群を効果的に鍛えることができます。
体幹トレーニングについて詳しく紹介しています!興味がある方はこちらをどうぞ👇
どんな競技におすすめ?
ターキッシュゲットアップを行うことで期待できる効果について、解説しました。
肩の安定性、関節の柔軟性、そして強い体幹は、どんな競技にも必要な要素です。
従って、幅広いスポーツのパフォーマンスアップに役立つと思います。
その中でも、特にターキッシュゲットアップがおすすめな競技は、
- 寝技をする格闘技
- レスリングなど組み手系の格闘技
格闘家が好んでケトルベルトレーニングを取り入れていることに納得です!
ターキッシュゲットアップを取り入れたおすすめのプログラムは?
ターキッシュゲットアップはどのようにプログラムに組み入れたら効果的でしょうか?
体幹トレーニングとして、ターキッシュゲットアップのみをじっくり時間をかけて行うのもよいと思います。
ハードスタイルケトルベルの「生みの親」であるStrongFirstは、「Simple & Sinister」というプログラムを紹介しています。
Simple & Sinister ワークアウト
100シングルアームスイング(左50回-右50回)と10ターキッシュゲットアップ(左5回-右5回)を行います👇
- 5分以内に100シングルアームスイング
- 10分以内に10ターキッシュゲットアップ
プログラムの詳細
- タイマーを30秒毎に鳴るようにセット
- 30秒以内にシングルアームスイングを10回行う(残り時間はケトルベルを床に置いて休んでOK)
- 30秒ごとに反対側に持ち替えて、同様に行う。これを10ラウンド繰り返す
- 1分休憩
- タイマーを1分毎に鳴るようにセット
- 毎分ターキッシュゲットアップを1回行う(残り時間はケトルベルを床に置いて休んでOK)
- 1分ごとに反対側に持ち替えて、同様に行う。これを10ラウンド繰り返す
ケトルベルの重さの選択
「Simple」と「Sinister」の2つのレベルがあります。
Simpleの場合
- 女性⇒ターキッシュゲットアップは16kg・シングルアームスイングは24kg
- 男性⇒ターキッシュゲットアップは32kg・シングルアームスイングも32kg
Sinisterの場合
- 女性⇒ターキッシュゲットアップは24kg・シングルアームスイングは32kg
- 男性⇒ターキッシュゲットアップは48kg・シングルアームスイングも48kg
48kg!?とんでもない重さですね(^^; 女性で32kgも、流石にハードルが高いですね。
各人のレベルや、手もとにあるケトルベルの重さに併せて、インターバルを変えてみたり、
フォームが雑にならないように気をつけながら、タイムトライアルをしてみるのも良いと思います。
安全&効果的にケトルベルトレーニングを学びたい方へ
いかがでしたか?
今回は、ケトルベルターキッシュゲットアップについて徹底解説しました!
今回の記事を読んで「よし!ターキッシュゲットアップやってみよう!」と思っていただけたら幸いです。
ケトルベルトレーニングを安全&効果的に学びたい方は、ぜひプログラムを体験してみて下さい!
出典
StrongFirst. 『Sinister』. https://www.strongfirst.com/achieve/sinister/. (参照 2021-03-11)