「体幹トレーニング至上主義」の落とし穴

ケトルベル上達の最短コース

ケトルベル初心者から上級者への最短コース!
ケトルベルのコツを見るだけで学べるプログラムを作りました!

ケトルベルプログラム
ケトルベル入門

基礎エクササイズを徹底解説しました!

最近は「体幹トレーニング」が人気になっていますね。

体幹トレーニングが有名になったのは、サッカーの長友選手の活躍が大きく影響していると思います。

トップアスリートも積極的に取り組んでいる体幹トレーニングですが、なぜそれほど重要なのでしょうか?

今回は人気沸騰中の体幹トレーニングについて、お話ししたいと思います。

参考動画↓

ケトルベルスイングとプランクを交互に行って、体幹の前と後ろを両方鍛え、最強の体幹を作ろう!

サッカーの長友選手の活躍で大人気になった「体幹トレーニング」

長友選手は、彼のトレーナーである木場克己先生が考案された「木場トレ」を実践することにより、体幹の筋肉が目をさまし、パフォーマンスアップにつながったそうです。

それを聞いて、「なるほど!僕も体幹を強化してパフォーマンスアップしよう!」

と実行に移す前に、体幹について知っておきましょう。

そもそも「体幹」ってどこ?

よく「体幹が大切」と聞きますが、そもそも体幹とは身体のどこを指しているのでしょうか?

一般的に、体幹と言えば、身体の前側にある腹筋をイメージされると思います。

それも間違いではありません。

しかし、スポーツパフォーマンスの向上を目的とするなら、腹筋だけ強化すればパフォーマンスアップにつながるとは考えにくいです。

体幹はもっとたくさんの筋肉をカバーするものであるべきだと思うのです。

体幹は腹筋だけじゃない!

体幹が身体のどこを指すのか、文献によって見解が分かれています。

柔道整復師&トレーナーとして考えて、次の5つのカテゴリーに分けるのが良いと思います👇

  • 腹筋群
  • 殿筋群(表層)
  • 股関節屈筋群(深部腹筋)
  • 脊柱起立筋群
  • 広背筋

順番に、代表的な筋肉に絞って紹介していきます。

文献により筋肉のカテゴリー分けが異なることがあります。  

腹筋群

腹筋群(腹横筋・内腹斜筋・腹直筋・外腹斜筋)
腹筋群(腹横筋・内腹斜筋・腹直筋・外腹斜筋)※外腹斜筋は省略

深層から、腹横筋・内腹横筋・腹直筋・外腹斜筋の4つの筋肉があります。

主な作用は

  • 体幹を前と横に曲げる(前屈と側屈)
  • 体幹の回旋(内旋と外旋)
  • 呼吸を補助する(強く息を吐いたり、息を吐ききる時に働く)

腹横筋は「筋肉のコルセット」

体幹を固めて安定させることに最も貢献する腹筋は腹斜筋です。

「あれ?腹横筋じゃないの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、腹横筋は多裂筋など身体の深部にある筋肉とともに「インナーユニット」とよばれる、体幹を安定させる仕組みに関わっています。

また、動こうとする時、人体の中で一番最初に収縮する筋肉でもあります。

さらに、呼吸と深く関わり、強く息を吐いたり、息を吐ききる時に収縮します。

しかし、「腹筋を固めて安定させる」という役割においては、腹斜筋の方が強い筋力を発揮できるので、貢献度が高いと言えます。

殿筋群(表層)

殿筋群(大殿筋・中殿筋・小殿筋)
殿筋群(大殿筋・中殿筋・小殿筋)※小殿筋は中殿筋の深層にある

お尻周りの筋肉のことで、大殿筋・中殿筋・小殿筋があります。

大殿筋は人体の中で最も体積が大きい筋肉です!ご存知でしたか?

深層には梨状筋上・下双子筋、内閉鎖筋、大腿方形筋といった、股関節を外旋させる筋肉があります。

主な作用は

  • 脚を後ろに振る(股関節の伸展。走る時地面を蹴る動き。人体が発揮できる力の中で最大
  • 脚を外側に振る(股関節の外転)
  • 脚を外に回す(股関節の外旋:つま先が外を向く動き)

股関節屈筋群(深部腹筋)

股関節屈筋群(大腰筋・腸骨筋)
股関節屈筋群(大腰筋・腸骨筋)

大腰筋腸骨筋の2つがあり、2つをまとめて腸腰筋と言います。

大腰筋はとても重要な筋肉で、腰椎に直接ついています。腰痛と深い関係があります。

デスクワークで一日中座ったままでいると、腸腰筋が固まってしまい、腰痛の原因になります。

主な作用は

  • 脚を上に持ちあげる(股関節の屈曲)

脊柱起立筋群

脊柱起立筋群(棘筋・最長筋・腸肋筋)
脊柱起立筋群(棘筋・最長筋・腸肋筋)

脊柱起立筋群は細かい筋肉が何層にも重なって構成されています。

代表的は筋肉は、最長筋・腸肋筋・棘筋の3つです。それぞれ3つのパーツに分かれ、全部で9つあります。

深部には多裂筋という重要な筋肉もあります。

猫背の方や、骨盤が後傾している方は、生活しているだけで負担がかかりやすい筋肉です。

こまめにストレッチしたりほぐしてあげないと、腰痛の原因になります。

主な作用は

  • 脊柱を後ろに反らす(胸椎・腰椎の伸展)
  • 片方だけ働けば体幹を横に曲げる(側屈)

広背筋

広背筋
広背筋 胸椎と腰椎の棘突起・肋骨・骨盤から始まり、上腕の骨につく

広背筋については、知っている方も多いと思います。

「天使の羽」で有名ですが、腕を動かす筋肉だということをご存知でしたか?

なんと、骨盤から腕の付け根まで、とても広い範囲についています。

主な作用は

  • 腕を後ろに引く(肩関節の伸展)
  • 腕を内に回す(肩関節の内旋:前ならえの姿勢から手を体幹に近づける動き)

概要ですが、体幹を構成する筋肉について紹介しました。

各カテゴリーの代表的なものに絞っても、10コ以上の筋肉が体幹を構成しているんですね!

体幹を強化して期待できる効果は?

体幹に含まれる筋肉について、少し理解が深まったと思います。

では、体幹を鍛えることによって具体的にどのような効果が期待できるのか見ていきましょう。

体幹が安定すれば怪我の予防に役立つ

私たちの身体は、気づかないうちに「代償動作」により制限されているものを補っています。

代償動作とは、トリックモーションとも言います。関節の可動域が狭かったり、左右の筋力バランスが良くなかったりする時に見られます。

例えば、足首の捻挫ぐせがある人は、前距腓靭帯など足首を安定させている靭帯が傷ついてしまい、

靭帯の「感覚器」としての機能が十分に果たせなくなっています。

すると、足首でバランスをとることが難しくなってしまい、捻挫を繰り返してしまうのです。

バランスクッションなどを用いて足首のリハビリをし、靭帯の感覚器としての機能を回復させることも大切ですが、

中殿筋など骨盤周りの筋肉を鍛えて活性化することで、バランス能力を向上させることができます。

気をつけなければならないのは、

代償動作により、必ずどこかの関節や筋肉に過度な負担がかかってしまうことです。

先程の例でいうと、足首でバランスがとれないかわりに、骨盤周りの筋肉が補おうとするのです。

骨盤周りの筋力が十分でなければ、仙腸関節や腰椎に負担がかかり、怪我につながってしまいます。

従って、体幹を鍛えることで怪我の予防に役立つと言えます。

スポーツのパフォーマンスが向上する

体幹トレーニングがパフォーマンスアップに貢献することは、長友選手の活躍を見れば一目瞭然ですね。

具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 安定した体幹が地面からのパワーを効率よく上半身に伝える
  • フィールドで切り返す時、バランスが良くなり無駄な動きが少なくなる
  • 体幹が安定することで俊敏性が増し、初動が速くなる→ラダートレーニングをイメージ
  • コンタクトスポーツで当たり負けしなくなる
  • 格闘技で相手の動きにすばやく反応できるようになる

などなど、まだまだメリットはありそうです。

しかし、これらのような効果は、技術練習と体幹トレーニングだけをしていれば獲得できるのでしょうか?

実は、ここに流行りの体幹トレーニングの落とし穴があるのです。

「体幹トレーニング至上主義」の落とし穴

気のせいかもしれませんが、最近は「とりあえず体幹トレーニングを指導しておけばOK!」というトレーナーが多くなった気がします。

「体幹を鍛えよう」と言っていれば、「最先端を勉強しているんだな」という印象を、相手に与えられる感じがしてしまうのです。

確かに、木場克己先生が仰っているように、体幹トレーニングは

  • 関節を安定させる「インナーマッスル
  • パワフルな動きを生み出す「アウターマッスル

この2つを連動させることにより、怪我を防ぎ、パフォーマンスアップに貢献してくれます。

しかし、体幹トレーニングだけをしていれば、先に述べたような効果を得られるとは限りません。

基礎を無視して「新しいもの」を追いかけても、必ずしもパフォーマンスアップにはつながらないということを、

肝に銘じておかなければならないと思います。

長友選手はウエイトトレーニングの鬼だった!

実は、体幹トレーニングを有名にした長友選手は、東福岡高校でサッカーの練習に明け暮れる中、

ウエイトトレーニングにも熱心に取り組まれていたそうです。

スクワットやベンチプレスなど、一般的な筋トレも競技練習と並行して行い、基礎筋力を高めていました。

また、ランニングやダッシュなど、心肺機能のトレーニングも欠かさず実施されていました。

学生時代から培ってきた基礎があったからこそ、体幹トレーニングが功を奏したと言えます。

ジグソーパズルで欠けていた1つのピースがはまり、作品が完成した感じでしょうか。

身体の土台を作りながら体幹トレーニングを取り入れよう

長友選手の実例は、「体幹トレーニングだけをしてもパフォーマンスアップにつながるとは限らない」ことを実証していると思います。

ITと同じく、トレーニングも日進月歩なので、常に新しい知識を吸収し、プログラムに取り入れて実践することはとても大切だと思います。

しかし、新しいものばかりを追い求めて、先人たちが継続してきた基礎トレーニングを無視してはいけません。

ランニングや筋トレなど、身体の基礎を作りながら体幹トレーニングを取り入れることで、インナーマッスルとアウターマッスルが連動し、パフォーマンスアップにつながるのだと確信しています

もしあなたが、パフォーマンスアップを目的にこれから体幹トレーニングを始めるなら、

基礎作りを怠っていないか、一度振り返ることも必要かもしれません。

強靭な体幹を作りたいならケトルベルトレーニング!

今回は

  • 体幹は身体のどこを指すのか
  • 体幹トレーニングで期待できる効果
  • 基礎トレーニングを軽視しないこと

というトピックを掘り下げてみました。

次回は、「ケトルベルがなぜ体幹トレーニングにおすすめなのか」についてお話ししたいと思います!

出典
長友佑都、木場克己 『長友佑都 体幹トレーニング20』、{第五版}、KKベストセラーズ、2014、p76-83、(ISBN978-4-584-13557-0)