【トレーニング】に関するよくある質問にトレーナーがお答えします!

前回は、「筋肉痛」に関して頻繁にいただく3つの質問についてお答えしました。

詳しくはこちらをどうぞ👇

今回は、

  1. 空腹のままトレーニングしても大丈夫?
  2. トレーニング中の上手な呼吸の仕方とは?
  3. 自主トレをするおすすめのタイミングは?

「トレーニング」に関する良くある質問3つにお答えします!

1.空腹のままトレーニングしても大丈夫?

  • 食べるとお腹が膨れて動きにくくなるから
  • トレーニングの前に何か食べるのは面倒
  • 空腹のままトレーニングした方が、体脂肪を効率良く燃やせるんじゃない?

空腹のままトレーニングしがちな方にその理由を伺うと、様々な回答をいただきます。

結論から言うと、空腹のまま無理にトレーニングをするのは

身体にとって良くないだけでなく、ダイエットにとってもむしろマイナスです(T ^ T)

なぜ、空腹のままトレーニングをするのは良くないのでしょうか?

その理由は2つあります👇

  1. 筋肉をエネルギーに変える「糖新生」により、筋肉量が減少する
  2. すぐにエネルギー切れとなり、集中力が低下し、ケガのリスクが高くなる

私たちの身体には、どんな状況になっても血糖値を一定に保つシステムが備わっています。

の唯一のエネルギー源であるグルコース血糖)の供給を途切らせないためです。

食事により上昇した血糖値は、インスリンの作用で各細胞に取り込まれます。

筋肉や肝臓に運ばれた血糖(グルコース)は、グリコーゲンとして蓄えられます。

空腹時にトレーニングをすると、まず血液中に流れているグルコースが消費されますが、

すぐに足りなくなってしまいます。

すると、次は肝臓で蓄えられたグリコーゲンを分解し、血糖値を上げます。

しかし、肝グリコーゲンは30分くらいで使い切ってしまうと言われています。

それでもトレーニングを続けると、血糖値が低下し、

脳へのエネルギー供給が少なくなり、めまいや集中力の低下などを引き起こします。

この状態が「低血糖」です。

低血糖はケガのリスクを高めるため、絶対に避けなければなりません

血糖値を一定に保つため、肝臓に蓄えておいたグリコーゲンを使い切った身体は、次の手段として、

筋肉を削り、血糖値を上げます

これを「糖新生」と言います。

本来、筋肉を大きくするためのトレーニングが、空腹のまま無理に行うと

逆に筋肉量を減少させてしまう結果となりかねないのです。

従って、トレーニングをする時は、必ず消化の良いものを少し食べてから臨みましょう。

80~160kcalを目安に、バナナやウィダーインゼリー、食パンなどがおすすめです。

ビタミンとミネラルを含むバナナは、トレーニング前の軽食にぴったりだ。

2.トレーニング中の上手な呼吸の仕方とは?

トレーニング初心者の方にとって、トレーニング中の呼吸の仕方に気を配ることは大切です。

普段、無意識にしている呼吸ですが、

呼吸の仕方に気を付けることで、トレーニングにどんな効果があるのでしょうか?

上手な呼吸はトレーニング効果を高める

上手な呼吸は、トレーニングの内容を充実させ、トレーニング効果を高めてくれると同時に、

トレーニングに伴う健康上のリスクを軽減してくれます。

トレーニング中、呼吸を意識することは、次の3つのポイントにおいて重要です👇

  1. 腹圧を高める
  2. 血圧の上昇を防ぐ
  3. 酸欠にならないようにする

1.腹圧を高める

腹圧とは、「腹腔の内圧」のことです。

トレーニング中の呼吸を意識し、腹圧を高めることで、腰にかかる負担を軽くすることができます👇

腹圧の役割
腹圧を高めることで腰部の負担が軽くなる(右の図)

わかりやすく言うと、お腹に大きな風船を抱えているイメージです。

立っている時、重力の作用により、身体には前に倒そうとする力が働いています。

この力に対抗して、身体を後ろから支えているのが脊柱起立筋です。

腹圧を高めることは、お腹に大きな風船を抱えるイメージです。

お腹に抱えている風船(腹圧)が押し戻してくれるお陰で、脊柱起立筋の負担を軽くすることができます。

2.血圧の上昇を防ぐ

トレーニング中に呼吸に気を配ることは、血圧の上昇を防ぐことにも役立ちます。

ウエイトリフティングなどの瞬発力を競う競技では、息を思い切り吸って止め、大きな力を発揮しやすくします。

これを「バルサルバ効果怒責)」と言います👇

バルサルバ効果は、大きな筋力を発揮しやすくする反面、血圧が非常に上がる。

バルサルバ効果は、腹圧を効果的に高めて体幹を安定させ、大きな力を発揮しやすくする上級者向けのテクニックです。

大きな力を出しやすくする反面、血圧が非常に高くなるので、

高血圧動脈硬化症などの循環器系の疾患を患っている方にとってはとても危険です。

循環器系のリスクがなくても、トレーニング初心者の方は酸欠などを防ぐために、バルサルバ効果は控えた方が良いと思います。

3.酸欠にならないようにする

トレーニング中の呼吸に気を付けることで、酸欠になって倒れることを防ぐことができます。

トレーニング初心者の方にありがちなのが、エクササイズの動作に集中しすぎて、呼吸を忘れてしまうことです。

「呼吸を忘れるなんて、そんなことがあるのか?」と思う方もいるかもしれません。

パーソナルトレーニングが初めての方、まだトレーニングに慣れていない方、久しぶりに本格的な運動をする方は、

高度の緊張と、身体を動かすことに集中しすぎて、呼吸がおろそかになってしまうことが多々あります。

従って、トレーニング中に酸欠にならないようにするためにも、呼吸を意識することは大切なのです。

基本は「力を出す時に強く息を吐く」

トレーニング効果を高める、上手な呼吸の仕方の基本は、

力を出す時に強く息を吐く」ことです。

息を強く吐けば、横隔膜の作用により、自然と息を吸うことができます。

スクワットを例に説明します。

  1. 息を吸いながらしゃがむ
  2. しゃがみ切ったところで一瞬息を止める(バルサルバ効果ではありません)
  3. 息を強く吐きながら立ち上がる

この基本的な呼吸法は、ほとんどのエクササイズで応用できます。

トレーニングに慣れてくると「腹圧を高めながら、酸欠にもならない」良いタイミングで呼吸ができるようになると思います。

出典
NPO法人 日本トレーニング指導者協会、鈴木一行、 『トレーニング指導者テキスト理論編 改定版』、(第7版)株式会社大修館書店、2019、p46、(ISBN978-4-469-26755-6)

3.自主トレをするおすすめのタイミングは?

頑張って自主トレをするなら、出来るだけ効率良く体脂肪を燃やせるタイミングに行いたいですよね。

効率良くシェイプアップするには、1日の中でいつトレーニングをすると良いのでしょうか?

自主トレをするおすすめのタイミングをまとめてみました👇

  1. 通勤や買い物など、外出する前
  2. 夕食を済ました後、1時間くらい経過した時
  3. 朝食前の朝1番

1つ注意していただきたいのは、トレーニングを行う時間帯を頻繁に変えることはおすすめしません

出来るだけ同じ時間帯にトレーニングをするように努めることで、

身体が自然と「準備」を始めるようになります。

交感神経の働きが高まり、心臓の働きが活発化し、身体が温まってくるようになります。

このポイントを踏まえた上で、 1つずつ見ていきましょう。

1.通勤や買い物など、外出する前

通勤や買い物など、これから出かける前に自主トレをすることで、

代謝が上がり、効率良く体脂肪を燃やすことができます。

私たちの身体は、通勤や買い物などの日常生活で消費するエネルギーは、

そのほとんどを体脂肪から賄います。

他方、スポーツやトレーニングなど、中〜高強度の運動をする時は、

クレアチンリン酸糖質を分解し、エネルギーを作り出します。

さらに、トレーニングで筋肉を激しく動かすことで、成長ホルモンの分泌が高まり

体脂肪の燃焼を促進させることが明らかになっています。

成長ホルモンは、16歳ごろをピークに、年齢を重ねるにつれ分泌される量が少なくなっていきます。正しくトレーニングをすることで、安静時の300倍にまで高まったという研究結果があります(2時間後にはもとの水準に戻ります)。

従って、日常生活を「有酸素運動」と考えると、外出する前のタイミングを狙って自主トレを行うことで、

体脂肪を効率良く燃やすことができるのです。

日常生活を有酸素運動と考えよう!

2.夕食後、1時間くらい経過した時

出勤時間が早い方や、朝早く起きるのが苦手な方にとって、出勤前の自主トレは

なかなかハードルが高いと思います。

無理に早起きをして自主トレをねじ込んでも、朝方は体温が下がっていて筋肉が固いので、

トレーニングの調子が上がってくるのに時間がかかることも考慮した方が良いでしょう。

そのような場合は、帰宅後、軽く夕食を済ませて、お腹が落ち着く1時間後くらいがおすすめです。

食後すぐの自主トレは、消化を妨げ、気分が悪くなってしまうので控えましょう。

夕食後に自主トレを行うメリットはもう1つあります。

僕自身の経験が根拠ですが、満腹の状態で就寝すると太りやすい感じがします。

昔から「食べてすぐに寝ると牛になる」と言いますが、確かにそのような感じです。

夕食後に自主トレをしてカロリーを消費することで、太りにくい習慣を作ることができると思います。

3.朝食前の朝1番

早起きが得意な方や、スッキリした状態で集中してトレーニングしたい方は、

朝食前の自主トレがおすすめです。

朝1番にトレーニングをするのは、なかなかハードルが高いですが、

その分、1日を通して代謝が高い状態を維持できるので、体脂肪を効率良く燃やすことができます。

朝食前にトレーニングをする場合は、必ず何か消化吸収の良いものを食べてから行って下さい。

一般的に、起床直後は空腹を感じませんが、

前日の夕食から少なくとも8時間は経過していると考えると、

起床後何も食べずにトレーニングをすることは身体に良くありません

おすすめの方法は、バナナ1本とプロテイン20gをミキサーにかけ、シェイクにします。

約160kcalで、たんぱく質は20gくらい含まれています。

朝食前にトレーニングをする場合は、必ず何か消化吸収の良いものを食べてから行おう。

「それでもお腹が膨れて嫌だ」という方は、ゼリー系のエネルギー飲料や、カロリーメイトなどの固形物を活用すると良いでしょう。

トレーニングの後は、普段通りの朝食を摂って良いと思いますし、

トレーニング前に摂った軽食分、軽くしても良いと思います。

皆さんのライフスタイルや季節に合わせて、自主トレをするタイミングを決めていただければと思います。

今回は、

  1. 空腹のままトレーニングしても大丈夫?
  2. トレーニング中の上手な呼吸の仕方とは?
  3. 自主トレをするおすすめのタイミングは?

「トレーニング」について、頻繫にいただく3つの質問にお答えしました。

せっかく、有限である体力や時間を費やしてトレーニングするのですから、

正しい知識を持ち、トレーニング効果を最大にできるよう努めていただければ幸いです。