今回は、
- お酒を飲みながらシェイプアップはできる?
- トレーニングと有酸素運動、どちらを先に行った方がシェイプアップに効率的?
- シェイプアップのためのおすすめケトルベルトレーニングプログラムは?
「シェイプアップ」に関して頻繫にいただく質問3つにお答えします!
「トレーニング」について良くある質問にお答えしています👇
1.お酒を飲みながらシェイプアップはできる?
- 仕事上、接待が多くて、飲酒することが多い
- 毎晩の晩酌がどうしてもやめられない
- 普段はお酒を飲まないけど、たまに友人と飲むときは歯止めが利かなくなり、浴びるほど飲んでしまう
お酒は社会生活を営む上で、人間関係を円滑にしてくれる役割があることは認めなければなりません。
忘年会や歓送迎会など、家族や仲間と楽しくお酒を飲むことは良いことだと思います。
これらを前提に、お酒を飲みながらダイエットやシェイプアップはできるのか、お答えしたいと思います。
お酒好きの方にとっては少し耳が痛い内容になると思いますが、予めご了承下さいm(__)m
お酒は飲んでも太らない!?
僕の知人に、
「お酒のカロリーの大半は熱となって体外に排出されるから、お酒は飲んでも太らない」と豪語している人がいます。
果たして、これは正しいでしょうか?
答えは「No!」です。
摂取したカロリーのうち、平均して10%くらいは熱となって体外に排出されることは事実です。
これを「食事誘発性熱産生(DIT)」と言います。
DITは、食事をすることによりエネルギー代謝が一時的に上がることを指し、
たんぱく質が最も高く、摂取したカロリーの約20~30%が熱として消費されると言われています。
確かに、お酒を飲むと末梢の血管が広がって血行が改善され、体温が上昇しますので、
「カロリーがどんどん熱として消費されている!」と誤解してしまうかもしれません。
しかし、現実はそう上手くはいきません。
アルコールは高エネルギーなので、飲めば飲むほど摂取カロリーオーバーとなり、体脂肪となります。
「糖質オフ」のウィスキーなら大丈夫?
「それなら、ウィスキーなど糖質が含まれていないお酒ならOKでしょう?」と次の疑問が出てきます。
残念ながら、糖質が含まれていようがいまいが、お酒は高いエネルギー(kcal)を持っています。
エネルギーを摂取すれば、運動などにより消費しない限り、余剰分は体脂肪に変換され、蓄積されます。
従って、たとえ糖質オフのものであっても、飲みすぎれば太ります。
お酒は「エンプティカロリー」
エンプティカロリーとは、「カロリーだけが高く、身体にとって有益な栄養素がほとんど含まれていない」食品のことを指します。
決して、こんにゃくのような「0カロリー」の食品を指すわけではないので、誤解しないようにしましょう。
飲酒はトレーニング効果を低下させる
お酒がダイエットやシェイプアップにとって望ましくないことは、
単に飲み過ぎれば太るからだけではありません。
直接的に、あるいは間接的に、
飲酒はトレーニング効果を低下させることが、明らかになっています。
大酒は即座に筋肉を破壊する
翌日二日酔いになるくらい泥酔したり、あまりお酒に強くない方が無理をして飲酒をした場合、
「急性アルコール筋症(ミオパチー)」という症状が現れます。
研究によると、ミオパチーの主な症状は、
- 筋力の低下
- 筋肉痛
- 血液中へのミオグロビンの溶出
- 筋線維(特に速筋線維)の部分的な壊死
などが報告されています。
ミオグロビンは、筋肉の赤黒い色の度合いを決める色素タンパク質で、酸素と結合し、筋肉組織内に酸素を運ぶ役割を担っています。
ミオパチーによる筋肉痛は、トレーニングの後に起こる筋肉痛とは根本的に異なり、
筋肉のタンパク質の合成自体が著しく低下してしまうために起こるそうです。
また、大きくなる「伸びしろ」が大きい速筋線維がダメージを受けてしまうことは、
筋肉を大きくすることが目的でトレーニングをしている方にとって、看過できない重大な問題です。
毎日の飲酒も筋肉を破壊する
「ほろ酔い程度なら、毎日飲酒してもトレーニング効果を下げることはない」と言いたいところですが、
残念ながら、たとえ泥酔しなくとも、長期間にわたり飲酒をした場合も、次第に筋力が低下し、だんだん筋肉が萎縮して行くそうです。
この症状は「慢性アルコール筋症」と呼ばれています。
研究では、筋力の低下は、それまでの総アルコール摂取量とぴったり比例すると報告されていて、
原因は、筋肉の発達と深く関係する成長ホルモンやインスリン様成長因子-1の分泌が低下するためといわれています。
お酒を飲む頻度と量をコントロールすることが大切
複数の研究により、飲酒がトレーニング効果を直接的・間接的に低下させることが明らかになっている以上、
お酒を好きなだけ飲みながらダイエットやシェイプアップをすることは極めて難しいと思います。
やはり、お酒を飲む頻度と量をコントロールすることが大切です。
可能なら飲酒をやめることが理想ですが、お仕事上の理由でそうはいかない方も多いと思いますし、
断酒してしまうと、それがストレスとなり、かえって飲酒量を増やす結果となる場合も考えられます。
「ダイエットやシェイプアップに影響しないお酒の量」については、皆さんが最も知りたいことだと思いますが、
アルコール脱水素酵素の活性の度合いは個人により差があるため、言及は避けたいと思います。
各人が理性を持って、飲酒量を自分でコントロールし、摂取カロリーを減らす努力が不可欠です。
出典
石井直方、 『究極のトレーニングー最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり』、(第10版)株式会社講談社、2013、p244-248、(ISBN978-4-06-214098-0)
2.筋トレと有酸素運動、シェイプアップのためにはどっちが先?
運動には、トレーニングの目的により、大きく分けて2つのタイプがあります👇
- バーベルやダンベルなどを使って、筋肉を強く大きくすることが目的の「筋力トレーニング」
- ランニングや自転車こぎなど、体脂肪の燃焼が目的の「有酸素運動」
シェイプアップやスポーツのパフォーマンスアップといった各人の目的、年齢、基礎疾患の有無などの条件により、
どちらのタイプに、より多くの体力と時間を費やすかが変わってきますが、
効率よくシェイプアップすることが目的なら、両方を組み合わせるのがベストです!
体脂肪を燃やすために必要な2つのステップ
組み合わせる順番についてお話しする前に、
私たちの身体が体脂肪を燃やすために必要な2つのステップについて知っておきましょう👇
- ホルモン感受性リパーゼにより、体脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分けて血液中に送り出す「分解」
- 血液中に流れ出た遊離脂肪酸を筋肉に取り込んでエネルギーとして消費する「燃焼」
体脂肪を燃やすには、この2つのステップが不可欠です。
上記を踏まえた上で、筋トレと有酸素運動、どちらを先に行った方が効率よく体脂肪を燃やせるのでしょうか?
筋力トレーニングを先に行おう!
筋トレと有酸素運動、どちらを先に行った方がより効率良くシェイプアップできるのか、
すでに研究結果が報告されています。
研究によると、筋トレの後に有酸素運動を行った方がシェイプアップに効果的という結論が出ています。
なぜ筋力トレーニングを先に行った方が良い?
なぜ筋トレを先に行った方が効率が良いのか、その理由をまとめました👇
- ホルモン感受性リパーゼを活性化するアドレナリンや成長ホルモンなどの分泌が活性化されるから
- 筋トレの方が運動強度が高く、優先順位が高いから
- 筋肉量の増加は基礎代謝アップにつながり、消費エネルギーの増加が見込めるから
尚、筋トレと有酸素運動の間に休憩を挟んだとしても、上記の効果は維持されるそうです。
休憩の長さについて、研究では20分~2時間まで効果の維持が確認されたそうですが、短い方が良いでしょう。
もし有酸素運動を先に行うとどうなる?
反対に、有酸素運動を先に行った場合はシェイプアップにどう影響するのでしょうか?
これに関しても研究がなされています。
研究の結果、
有酸素運動を筋トレより先に行うと、シェイプアップにとってむしろマイナスとなることが判明しました。
その理由をまとめると、
- ホルモン感受性リパーゼの活性化を促す成長ホルモンの分泌が完全に抑えられてしまうから
- 筋肉を大きくする効果が高い筋トレの強度が下がってしまうから
因みに、ウォーミングアップとしてジョギングや自転車こぎを10分程度行うくらいでは、
成長ホルモンなどの分泌にマイナスの影響は全くないそうなので、安心して下さい!
これらの研究結果を踏まえ、
シェイプアップが目的の方は筋トレ⇒有酸素運動の順番でトレーニングをし、効率良く体脂肪を燃やしましょう!
出典
石井直方、谷本道哉 『1日10分[クイック→スロー]で自在に肉体改造 体脂肪が落ちるトレーニング』、高橋書店、2005、p140-141、(ISBN4-471-14390-5)
出典
石井直方、 『究極のトレーニングー最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり』、(第10版)株式会社講談社、2013、p186-192、(ISBN978-4-06-214098-0)
3.シェイプアップにおすすめのケトルベルトレーニングプログラムは?
シェイプアップが目的の方におすすめのケトルベルトレーニングプログラムの組み方をご紹介します!
プログラムの概要
- ウォーミングアップ(5~10分)
- ケトルベルサーキットトレーニング【きつめ】(10分)
- ケトルベルフロー(10分)
- ケトルベルサーキットトレーニング【少しゆるめ】(10分)※時間がない時はスキップしてOK。
- マッサージ・ストレッチなどのセルフケア(5~10分)
所要時間は、ウォーミングアップからセルフケアまでで短くて30分、長くて45分くらいが目安です。
ウォーミングアップは必ず行おう!
ケガを防ぎ、トレーニング効果を高めるために、ウォーミングアップは必ず行いましょう。
たとえ時間が少なくてメイントレーニングの内容が薄くなってしまうとしても、ウォーミングアップは省いてはいけません。
ウォーミングアップを行うことのメリットについてまとめました👇
- 体温を上げて筋肉の「粘り気」を少なくし、動きやすくする
- 心拍数を上げて、心臓が激しい運動をしてもオーバーヒートしないようにする
- 交感神経の働きを高めて、脂質や糖質をエネルギーとして燃やす準備をする
ウォーミングアップの方法は種々ありますが、関節を大きく動かしながら筋肉をほぐすダイナミックストレッチがおすすめです。
参考動画
ケトルベルサーキットトレーニングとは?
ウォーミングアップが済んだら、ケトルベルと自重エクササイズを組み合わせたサーキットトレーニングを行い、
全身の筋肉をくまなく動かして心拍数をグーッと高め、消費エネルギーの増加を狙います。
ケトルベルトレーニングは、筋トレと有酸素運動両方のメリットが期待できるので、サーキットトレーニングに最適です!
各人の筋力、年齢、性別、体力レベルに合わせて、
- エクササイズの難易度
- エクササイズの数
- インターバルの長さ(動く時間と休憩時間)
- ケトルベルの重さ
を調節し、心肺機能や筋肉がトレーニングの刺激に慣れてしまわないように工夫することが大切です。
参考動画
ケトルベルフローとは?
ケトルベルサーキットトレーニングで心拍数がさらに高まり、全身の筋肉が完全に温まったら、
ケトルベルフローに挑戦しましょう!
ケトルベルフローは、異なるエクササイズを連続でこなしていくトレーニング方法で、
サーキットトレーニングよりも特定の筋肉に強い負荷をかけることができます。
また、原則として、決められたフローを終えるまでケトルベルを床に置いて休むことはないので、
心拍数も非常に高くなります。
その結果、筋肉を大きくする効果が高く、筋力や筋持久力の向上も期待できます。
参考動画
筋肉痛を和らげるセルフケアも必ず行おう
トレーニングの後は、激しく使った筋肉を中心にマッサージしましょう。
ストレッチポールなどのセルフケアツールを活用すると、時間を短くできるとともに効果的です。
マッサージの後の筋肉は「強張り」が軽減し伸びやすくなりますので、
このタイミングでスタティック(静的)ストレッチを行うことで、身体の柔軟性の向上も期待できます。
ケトルベルトレーニングは、バーベルやダンベルを使った筋トレと同様に、運動強度が高いです。
高強度のトレーニングをした後は、筋肉が緊張して熱を持ち、少し強張ります。
セルフケアをせずに筋肉が強張ったまま放置すると、翌日の筋肉痛が強くなったり、
筋肉の柔軟性が低下してしまったり、寝違えや肉離れなどのケガの原因になります。
トレーニングとセルフケアをセットで実施することで、痛みのない快活な身体を作ることができるのです!
今回ご紹介したケトルベルトレーニングプログラムは一例です。
ウォーミングアップとセルフケアは毎回欠かさず行っていただければ、メイントレーニングの内容は自由にアレンジしていただいて構いません。
時には自重エクササイズのみのサーキットトレーニングも良いですし、外でランニングもおすすめです。
私たちの身体は高い順応する力を持っていますので、「停滞期」を打ち破るために、
様々なバリエーションを試し、身体をトレーニングの刺激に慣れさせない努力が大切です。
今回は、
- お酒を飲みながらダイエットやシェイプアップはできる?
- トレーニングと有酸素運動、どちらを先に行った方がシェイプアップに効率的?
- シェイプアップにおすすめのケトルベルトレーニングプログラムは?
シェイプアップに関する良くある質問にお答えしました!
今回の記事が皆さんの疑問解決に少しでも役立てば幸いです。